GR徹底紹介
GR II インターバル合成「RAW保存とGR Remoteの活用」
こんにちは、任三郎です。
ちょっと間が開きましたが、いよいよ来週発売となりますGR IIのご紹介です。
先日、任三郎よりGRとスマートフォンとをWi-Fiで繋ぎ、GRの操作をスマートフォンから操作できる「GR Remote」をご紹介しました。
その中で、「インターバル合成撮影機能を使って星景写真を撮るときに便利では?」と少し触れましたが、今回はこの使いこなし術について、星景写真といえばこのお方、インターバル合成撮影機能の生みの親こと山本センパイに詳しく説明をしていただくことにしました。
また、GR IIではインターバル合成撮影モードで撮った画像をRAW形式で保存できるという機能も追加されています。
この2つの機能について本当に詳しく細かく説明してくださっておりますので、星景写真の撮影にチャレンジしたい方はぜひメモのご用意を。
では山本センパイ、どうぞ!
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GR IIが発表されライターの皆さんのレポートがアップされていますね。GR IIでは、インターバル合成に関連する部分にも、幾つか便利な機能が追加されています。大きくは次の2点になります
■インターバル合成のRAW保存
■GR Remoteの活用
今回はそれらについて、山本がレポートさせて頂きます。
さそり座と土星:さそり座のアンタレスと土星が明るさを競う
35mm換算28mm、ISO 100、F2.8、
8秒 ×951枚をカメラ内比較明合成(約2時間17分間の光跡)
■インターバル合成のRAW保存
まずは、制限事項2点を説明した後に、RAW保存されたデータの活用方法を3例挙げさせて頂きます。
[カメラ内RAW現像時の制限事項]
連続撮影をしながら、その画像をカメラの中で重ね合わせしているという事情から、一般撮影とまったく同じ項目を後から調整できるとはいきませんでした。以下に示す3点の制限事項がありますのでご注意ください。
●「ホワイトバランス」で「マルチパターンAUTO」を選べません。
(撮影時に「マルチパターンAUTO」を選んでいても内部で「AUTO」として撮影されています。RAW現像の制限というより撮影時の制限となります。この振る舞いはGRも同じです。)
●「ノイズリダクション」の項目がありません(撮影時に設定したままとなります)。
●「周辺光量」を「ノーマル」で撮影した場合には、RAW現像時に「周辺光量」の項目が選べません。
(「ノーマル」で撮影した場合はそのままとなり、「オリジナル」で撮影した場合はRAW現像時に選択可能です。)
その他の多くの項目は、一般撮影と同じようにカメラ内RAW現像で調整できますのでご安心ください。上記の制限事項による不自由を感じるケースは殆どないと思います。
[画像保存設定に関する制限事項]
GRシリーズのインターバル合成機能では、GR DIGITAL IVで最初にこの機能を搭載した時より、3種類の画像保存方法を選択することができます。これらの中で、RAW、または、RAW+の設定が適用されるのは、「最終結果の画像のみ」となります。「画像保存設定」のおさらいと共に、下図をご参照ください。下図赤枠のみがRAW保存の対象となります。
なお、インターバル合成撮影中の全押し操作で保存されるデータも上記に準じます(全押し操作をしたときの「最終結果」についてはRAWも保存できます)。
画像保存設定のより詳しい説明や活用法についておさらいしたい方は、CP+2015のワークショップ動画 42:22~46:05 をご参照ください。
[活用例1:WBや露出を後から変更する]
夜の撮影では「ホワイトバランスを合わせにくい」「露出を合わせにくい」と感じる方が多いのかと思います。例え難しいと感じていても、RAWで撮ってさえしまえば、撮影後にこれらのリカバリが簡単にできるようになりました。
ホワイトバランスについては「CT」で色温度指定するのがお勧めです。撮影前に決めきれなかったホワイトバランスを100K刻みで細かく追い込むことができます。カメラ内RAW現像の露出補正では、+1.0段~-1.0段の範囲を 0.3段刻みで調整できます。これらを活用し、より気軽にインターバル合成の撮影にトライして頂ければと思います。
なお、本件に関しては、GR Remoteを活用するとさらに効果的に調整できる場合があります。後半の内容も併せてご参照ください。
[活用例2:市販の現像ソフトを活用する]
GR IIはGRと同様に、高性能なレンズとローパスレスの16MPセンサーを組み合わせいます。このため、星の光跡に色モアレという現象がでやすいのですが、過去の記事(CP+2015の動画もあります)などで、紹介しているリカバリ方法が役に立ちます。
さらにGR IIでは、RAWデータが保存できるため、市販のRAW現像ソフトを用いるという新たなリカバリ方法が増えました(過去記事「ピントずらし」との併用も効果的です)。
世の中には多くのRAW現像ソフトが存在しており、私自身が試せるものに限りがありますが、私が試した幾つかの中では、Adobe Photoshop Lightroom CC(記事執筆時点のバージョンは5.7)が色モアレの低減にお勧めの現像ソフトとなります。まずはRAW現像した作例全体をご覧ください。
八重桜と北斗七星:半月程度の月明かりの中、2本の八重桜の間に北斗七星が沈む
35mm換算21mm(ワイドコンバージョンレンズ使用)
ISO 1600、F2.8、15秒 ×92枚をカメラ内比較明合成(約26分間の光跡)
上記の写真は、Adobe Lightroomのノイズリダクションの調節項目中で「カラー」のスライダー(以下画像の赤枠)を右側一杯の100まで振っています(その他、写真全体のホワイトバランスを整える調節もしていますが色モアレを低減するのは本項目です)。
調節する前後の画像を比較すると以下となります。左側がカメラが出力したJPEG画像、右側がAdobe Lightroomによって色モアレを低減した後の画像です。北斗七星の柄杓の柄の辺りを拡大しています。
カメラ内現像の項目でも色モアレ低減を選択することができるのですが、RAW現像ソフトのほうが、より繊細で効果の高い調節が行えるようになります。
[活用例3:エフェクトを活用する]
星の光跡写真にエフェクトをかけるということは滅多にないとは思いますが、他のRAW撮影結果と同じように、後からでも多様なエフェクトをかけることができます。
元の撮影結果にもよるのですが、左上「ポジフィルム調」の彩度やコントラストをやや弱めとしたもの(どちらも「4」としたもの)は、夜空の星のない部分がほどよく引き締まり、私がRAW現像ソフトで調節したものに近く仕上がりました。お気軽に調子を整える時に便利な場合があります。
■GR Remoteの活用
GR II より、本体にWi-Fiモジュールが内蔵され、撮影画像のダウンロードのみならず、スマートフォンやパソコンからカメラのモニタリング画像やメニュー画面を見ながら、カメラを操ることができるようになりました。簡易的な撮影だけでなくカメラ本体操作で行えるほとんど全ての操作が行えます。これはWi-Fi機能付きSDカードではできない利点となります。
GR IIの操作に特化した「GR Remote」というWebアプリと、リコーイメージングから発売している他のWi-Fi機能搭載カメラと共通の「Image Sync」というネイティブアプリの二種類がありますが、前述のきめ細かい操作をするときに便利なアプリは「GR Remote」となります。「GR Remote」の全体像については任三郎さんの記事を読んで頂くとして、以降では、「GR Remoteをインターバル合成と共に使う」ということに特化したレポートをさせて頂きます。
[ケーブルスイッチ(CA-2)の代わりとして使う]
インターバル合成は、多くの方の生活圏(夜空が明るい場所)でも星の光跡が撮れるという機能ですので、「仕事の帰り道、たまたま夜空に雲がないようだから撮ってみよう」というような気軽な撮影ができます。しかし、CA-2をお持ちの方でも普段からGRと合わせて持ち歩いているという方は少ないのではないでしょうか? そんな時に便利なのが「GR Remote」となります。
「GR Remote」はカメラで行えるほとんどの操作を行うことができるのですが、よっぽど無理な体勢にならないとカメラが操作できない場合を除き、「撮影開始までの操作はカメラで行ってしまい、撮影の開始/停止と途中の経過確認をスマートフォンで行う」という使い方が便利だと思います。操作ブレ防止に特化して使いましょう。
(もちろん、小さいカメラですので、他のカメラでは設置しにくいような場所にカメラを仕掛けて、安全な場所から遠隔操作できるというメリットも大きいのですが、そんなチャレンジをするのはワタシのような人間くらい...? ^^;)
このような使い方の場合、インターバル合成撮影中の全押し操作をしない限りは、「Presets」画面に用意されている「Interval Composite」ボタンで操作をするのが楽です。操作の流れは以下となります。
構図、露出、フォーカス、ホワイトバランスなどをカメラ操作で決めてしまえば、メニュー画面を出すことなくインターバル合成の開始/停止を操ることができます。 撮影間隔と画像保存の設定は事前に設定されている値になりますのでその点はご注意ください。撮影間隔は「最短」のデフォルト値で良いですし、画像保存設定も、一度設定してしまえば、そうそう変更することはないと思いますので、呼び出しが速く便利です。
Commander画面からカメラを操る場合にも、インターバル合成の撮影開始直前の操作まで(以下画像のように、カメラ背面液晶の画面左上に「インターバル合成」の文字がでるまで)はカメラ本体で操作を行ったほうが、作業がスムーズにすすむと思います。
撮影中は、カメラ本体の液晶画面はブラックアウトしたままとなります。スマートフォン側には、何も操作をせずとも撮影されるたびに合成の途中経過が更新されます。 GR Remoteを使うと、何も操作することなく光跡がどの程度のびたか何時でも判りつつ、周囲の人に迷惑をかけにくい(カメラが無駄に光らない)という振る舞いとなります。
この時、常々Wi-Fi通信を行うことになりますので、カメラの電池持ちが気になると思います。そこで、満充電した電池を使い、撮影開始から電池がなくなるまでGR Remoteで途中経過をモニタリングしながらインターバル合成をしてみたところ、約3時間30分の撮影を行うことができました。 (天気に恵まれず、自宅ベランダから曇り空の景色ですみません)
GR Remoteで途中経過をモニタリングしたまま撮影しても、
ISO100、F2.8、4秒、画像保存設定OFF、の設定で2844枚
約3時間30分ほどの光跡撮影が可能でした。
もちろん、外気温や各種設定値によりバラツキは生じますので、チャンピオンデータに近い結果ではありますが、Wi-Fiを使ったままの状態でも3時間ほどの連続撮影は十分に可能といえます。Wi-Fiを使わない場合には、GRと同じく5時間40分(過去の記事参照)の撮影が行え、GR IIとなっても省電力の能力は引き継がれています。
GR Remoteを使いインターバル合成をする際の注意点としましては、「Wi-Fiを使って撮影を開始した場合、Wi-Fiの接続が切れてしまうと撮影も停止してしまう」という点です。撮影中はカメラからの電波の届かない範囲にスマートフォンを離すことができなくなります。この点については将来改善される可能性もあるのですが、当面はこのままとなりますのでご注意ください。
以降は、インターバル合成に限った話ではありませんが、GR Remoteの便利な点を幾つか書いておきます。
[便利な小技1:時刻合わせ ]
GR Remoteを使っているスマートフォン(や、パソコン)とGR IIの時刻を同期する機能がついています。「Utilities」画面の「Sync Clock」ボタンをお使いください。
[便利な小技2:スマートフォンの画面を見ながらカメラ内RAW現像する]
最近のスマートフォンは、カメラの背面液晶よりも色や明るさを正確に表示できるものがあります。「細かな部分まで確認しながら」というのは難しいのですが、カメラ内RAW現像のプレビュー結果をスマートフォン画面を見ながら行った方が、素早く所望の結果を得られる場合があります。
[GR Remoteを使ってその他の感想]
私自身、自社・他社含めて幾つかのWi-Fi機能付きカメラやWi-Fi機能付きSDカードを使用しているのですが、GR IIのWi-Fiは、スマートフォンとの接続が確立するまでの時間が短いです(スマートフォンのWi-FiステータスがGR II と接続中になるまでの時間です、アプリケーションが接続を認識するまでの時間とは異なります)。使用する電波環境に依存することなのですが、多くのシーンで接続するまでにストレスを感じることが少なかったです。
GR Remoteは、カメラ背面液晶のメニュー画面などがそのまま出力されます、スマートフォンにはそれをキャプチャする機能がありますので、エフェクトや画像設定設の細かなパラメータをそのままキャプチャして、他のユーザーの方々と共有することも容易です。
その他、今回は気づけなかった隠された小技もいくつか眠っていそうなGR Remote、皆様の自由で柔軟な発想で、新しい使い方を色々と編み出していって頂ければと思います。
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最後までお読み頂き、ありがとうございました!
いかがでしたか?しっかりメモとれましたか?
「スマートフォンとGR IIの時刻を同期する機能」がついてるんですね!便利!知らなかった~。
東京はしばらく雨天が続いていましたが、この週末はようやく晴れてくれるようです。
お日さまもお星さまとも久しぶりの再会(笑)となりますので、この機会にGRを持って撮影に出てみてはいかがでしょうか。
以上、任三郎でした。
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