特別企画

日本科学未来館×GRインターバル合成イベントレポート

2015-01-30

こんにちは、ワッキーです。

 最近は寒さが一段と強まってきました。毎日通勤で大きな川を渡っているのですが、寒くて心が折れそうになります...(冷)
 そんな寒い季節ですが星空が綺麗な季節でもありますね。ということで今日は先日日本科学未来館で開催されました、日本科学未来館とGRインターバル合成のコラボレーションイベントについて、GR BLOGでは星景写真でおなじみの山本さんにレポートしていただきます。

それではどうぞ~!

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 昨年末のエントリにて告知していました、日本科学未来館とGRインターバル合成機能のコラボレーションしたイベントが2015年1月24日(土)に開催されました。
インターバル合成に関する記事でたびたび登場しております山本がイベントレポートをさせて頂きます。

00_TOP画像_500 .jpg

 今回のイベントは、「クラブMiraikan」という日本科学未来館の会員の中で、親子のペアで参加できる方々向けに行われたイベントです。今回の主役は星に興味津々なお子様たちでした。そしてイベントの目玉は、日本科学未来館ドームシアタープラネタリウムです。

Post from RICOH THETA. - Spherical Image - RICOH THETA


 通常は撮影禁止のドームシアター内部で、光跡写真の撮影練習ができたり、星にまつわる様々な画像処理のしくみをお子様にもわかりやすく解説してもらったり、屋上での撮影まで行えるというとても贅沢なイベントでした。以降順を追って、その様子をお伝えいたします!


■ドームシアターの中で撮影練習!(カメラの操作に慣れよう)
 
 まずは、GRインターバル合成で撮影した作例と、カメラ内部では「連続撮影をしながら」「明るい部分を残す」という画像処理を行っているという点を説明。インターバル合成の開始・停止方法や、連続撮影中でも画像処理の途中状態を自由に見ることができる操作方法もお伝えして、説明内容を体感できる遊びをしてもらいました。(このコーナーでは、ワタクシ山本も少しばかり説明のお手伝いをさせて頂きました。)
 
 ドームシアター内はまだ明るいままです。この状態で暗い背景(今回は床)にカメラを向けてインターバル合成を開始してもらいます。開始したらシャッターボタンを「半押し」で維持してもらい、レンズの前で手を動かしてみるという遊びです。参加した皆さんは、カメラの背面液晶で、以下アニメGIFのような様子を見ることができました。

02_手をかざす.gif


 お子様たちの面白がっている声がそこかしこで聞こえてきます。お父さんやお母さんの方たちも驚いている様子です。このような遊びを繰り返し行って頂いて、星の光跡を撮るためのカメラの操作を体で覚えて頂きました。「明るく動くものが映像に残る」という点も体感して頂けたようです。

 みなさんがカメラの操作を覚えた所で、ドームシアターの照明を活用し、都会の夜空を再現して頂きました(星の輝度は変わらず、街の明かりが星の光を打ち消している様子を再現しました)。沢山の星を全天周スクリーンに写すことができるプラネタリウムですが、こんなこともできるんですね!都会の夜空を再現して、参加者の皆様に体感して頂いたことは、以下のアニメGIFを参照ください。

03_都会の夜空を再現2.gif


 プラネタリウムの場合、本物の星空よりも速く星を動かすことができます(今回、おおよそですが18倍速程度で動かして頂いていました)。星の光跡撮影練習をする場合、1~2分程度待つだけで、20~40分に相当する長さの光跡写真が得られます。短時間で多くの回数の撮影練習ができますので、撮影方角を変えると光跡が変わるといったことも素早く体感できます。プラネタリウムを使った練習は大変効果的だと感心いたしました!おまけに寒くないですし、天候に関わらず実施できますし良い点が多いですね!

 ところで、日本科学未来館のプラネタリウム投影機には、MEGASTAR-II cosmos という装置が使用されており、シアターを覆うドーム状のスクリーンに1000万個もの恒星を投影することができる世界でも有数の設備です。そうですね、都会の夜空をシミュレーションするだけでは勿体ないです!暗い夜空に沢山の星々が見える世界も皆様に撮影して頂きました。

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 ドームシアターに投影された「都会の星空」「暗い環境での満天の星空」、どちらも撮影してみて気づいたことなのですが、星空写真として適正露出になるISO感度、絞り値、シャッター速度に、現実世界の夜空を撮り慣れた私でも違和感がありません。さらには星の色を見てください。冬の大三角を構成するベテルギウスはオレンジに、シリウスは青みかかり、プロキオンは白っぽくと、小さな点の星の色までもが再現されているではありませんか!MEGASTARは、とんでもなく高いレベルで現実世界に近い星空を再現できているのだと、あらためて実感させて頂きました。


■星空を見るための色々な画像処理について学習しよう!
 
 続いてドームシアターから講義を受ける部屋へと移動しました。講師は科学コミュニケーターの谷明洋さんです。冒頭の写真にもあるようにGRインターバル合成でカメラが行っている画像処理(「比較明」と呼ばれる画像処理)の仕組みを詳しく説明して頂いたり、天文分野の「移動天体を探す」「移動天体を消す」「大気の揺らぎを消す」といった場面で使われている画像処理についても説明をして頂きました。これらは「たくさん撮って」「画像処理をする」という点に、インターバル合成機能と共通点があります。なるほど~。

05講義の様子_500.jpg


■屋上で本物の夜空を撮影してみよう!

 講義によって、より詳しくインターバル合成のしくみが判ったところで、屋上での撮影となりました。(※普段は屋上に出ることができませんが特別に許可を頂きました。)

 実はこの夜、雲が多くなる予報でした。参加者の皆さんに「雲が多いけれど屋上の撮影にチャレンジするか、ドームシアターでの撮影をもっと楽しむか、どちらがよいでしょう?」と多数決をとりました。みなさん迷わず屋上での撮影に手が上がり、私かなり感動してしまいました。素晴らしいドームシアターですが、操作を覚えたら本物の星空を撮りたいですよね!

 そんな多数決を経て、屋上にでたときの空がこちらです(円周魚眼レンズで真上を撮影しています。少しズレていますが、概ね上が北、下が南、左が東、右が西、と思って下さい)。

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 皆様の願いが通じたのか、低空に雲が残るもののオリオン座付近(円の左下)、月(画面右下)といった、結果が判り易い星々近辺は十分に撮影できる状態になっていました。屋上で撮影をする皆様の様子はこちらです。
 
07_屋上撮影_500.jpg


■最後に
 
 屋上での撮影のあとは、いくつかの撮影結果を参加者の方々に紹介したり、参加者の方々の細かな質問にお答えしたのち、無事にイベントを終えることができました。参加者の皆様とても楽しまれたようです。このような貴重な機会をくださった日本科学未来館の皆様に感謝いたします。また、今回のイベントのために三脚をお貸しいただいたケンコー・トキナー様、ありがとうございました。

 イベントが終わると、空に雲は殆どなくなっていました。GRと三脚どちらもありましたので、こんな空を撮らないのは勿体ないですね。私もお子様達のモチベーションに負けてはいられません(笑)寄り道してこんな写真を撮ってしまいました。
 

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 以前、GR DIGITAL IVのインターバル合成機能紹介記事の先頭で登場した写真と構図が同じです。今回は自由の女神像がライトアップされていたので、普通に撮っただけでは自由の女神が白飛びしてしまうのですが...イベントに感化されて画像処理を少々行ってみました。どんな画像処理なのかは、また別の機会にでも。

最後の最後に告知です。

 2/12(木)~2/15(日)に開催されるCP+ 2015のリコーイメージングブースにて、インターバル合成のワークショップ講師を行います。詳しくはこちらのページ末尾付近をご参照ください。例年通り、私のワークショップはどなたでも見ることができます。座ってじっくり話を聞きたいという方は席をご予約ください。

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