GRist
GRist 井出眞諭さん
今回は若手写真家 井出眞諭さんの登場です!
井出(以降:I)さんはGR DIGITAL ⅡからのGRヘビーユーザー。当時、GR BLOGのトラックバック企画にも参加してくれていて、銀座RINGCUBEで「GR BLOG写真展」(2010年春)にも作品が展示されました。現在は、ほぼ毎日FaceBookに新型GRで撮影した写真をあげていただいているGRistです。猛暑が少し緩んだ7月某日、井出さんが写真を学んだバンタンデザイン研究所のスタジオで、社員N(以降:N)がお話を聞きしました。
■セルフプロモートの中でチャンスを掴む
I:Grist、憧れだったんですよ、だから連絡いただいたとき、自分でいいの?なんて思っちゃいました(笑)
N:それはとても嬉しいです。GRistも8年近くマイペースで続けてきて、井出さんが45人目のGRistになります。井出さんのここのところの活躍、表舞台への飛び出し方ってすごい勢いだなと思います。紅白歌合戦でアイドルが「去年の今頃は家族で見てたので、ここにいることが信じられないです」っていう感じですか? 今日は、その魅力の一片でも紹介できたらと思います。
I:いや、それは大げさ過ぎで(笑)まだまだ毎日が必死です。
N:井出さんは、保険会社の営業を経て、写真の世界に入ったのですよね。写真の世界に入るきっかけは何だったのですか?
I:学生時代から写真は趣味でやっていて、ストックフォトなどで自分でもやれるかもしれない、という感触はありました。あとは、このまま保険の営業はできないな、という行き詰まり感と、クリエイティブで食べていくしかない、というギリギリの選択のような感じでしたね。
N:携帯小説やラジオの脚本を書いたり、文章の方でも生き方も探りながら、結局は写真、なかでも広告・ファッション写真の世界に入ることになりました。
I:著名人のポートレートやファッション写真などは以前からやりたいと思っていた分野でした。でも、やはり最後は作家としての活動につなげて行きたいと思っています。商業写真だけで終わらせたくない。僕は、スナップがライフワークだし、最後はスナップに戻りたいという気持ちが強くあります。なので、どんなに忙しくても、毎日スナップしています。
N:井出さんが、写真でやっていける、と思ったのはいつ頃ですか?仕事が順調にくるきっかけになった写真とか。写真で飯を食いたいと思っている若い人はたくさんいると思うのですが。
I:2011年にTHE BAWDIESをモノクロで撮って、その後Salyuさんを撮って、その辺りかな。
N:評判が良かった?手応えがあったという感じですか?
I:そうですね、それを見て仕事をいただくことも多くなりましたので。でも、僕はすごくしっかり営業活動もしてきましたよ。写真を抱えて出版社巡りを繰り返してきたし、地道な活動を続けてます。良い写真だけ撮っていればいずれ誰かが気づいてくれる、という時代ではないですから。
N:そこに保険会社時代の経験も活きたとか?
I:それはあると思います。
■影を追う
N:写真を撮るときに何を意識していますか?
I:写真は光と影といいますけど、僕の場合は「影」を強く意識します。良い影を追いかけてシャッターを切っているような感じでしょうか。
N:これまでの作品にもそれが出ているように感じます、濃厚に迫ってくる力強い写真。特に顔の写真など。
I:人物では女性をたくさん撮ってきてますが、最近は圧倒的に男性を撮って欲しいという依頼が多いんですよ。こんな風にカッコ良く撮って欲しいって。それも一因かもしれません。
■作家を意識させない写真を目指したい
N:スナップをしっかりやっていきたい、とのことですが、どんなスナップ写真を撮っていきたいのでしょうか?
I:僕は、"誰が撮ったかわからないけど一度見たら忘れられないような写真"を撮って行きたいと思っています。
N:この後、井出さんらしい写真とは何かを聞く予定だったのですけど、誰が撮ったかわからない方がいい?
I:はい、「どの写真を見てもあの人らしいね」という写真のスタイルもありますけど、僕は「これが井出らしさだ」というようなアプローチは好きじゃないです。例えば、オノデラユキさんは大好きな写真家ですが、彼女は毎回シリーズ毎に全く新しい世界を見せてくれる。自分もそんな風になりたいと思います。自分らしいスタイルなんてこと考えずに、どんどん写真を撮り続けるのが理想です。
N:自分のスタイル探しなんかしてる暇はない、そういうのが好きな人は好きなように考えてくれればいい、ということでしょうか。ハービー・山口さんが若い頃、大御所の写真家に「君はスタイルがないのがいいね」と言われたと話してましたが、、、
I:ああ、僕もそんなのに憧れます。だから、ハービーさんの写真が好きなんだと思います。
N:スタイルは見る人に委ねてしまうというのは、自分の視点に自信がなければできないと思います。
I:僕は、作家性が表に出ていない「誰が撮ったの?」って気にならない写真を目指してます。写真を見てるときに、写真家に見せられていると感じたくないし、感じさせたくないんです。
N:わかるような気がします。「俺を見てくれ」ではなく「この写真に写ったものを見てくれ」なんですね。
■ライフワークとしてのスナップ
N:井出さんは、毎日GRで撮った写真をFacebookに掲載しています。ほとんどがモノクロのスナップですが、なにかテーマのようなものは持っているのですか?
I:いくつか持っていますが、やはり人を撮るのが好きで、中でも今は「2人が何かしている」というシーンを意識しています。ストーリー性が感じられる写真を、いずれどこかでまとめて発表できないかな、と思っているので。
N:それはすごく楽しみです。広告写真でない井出さんのスナップを、塊として見てみたいですね。そういえば、RINGCUBEでGR BLOGのトラックバック企画の受賞作品展で写真を展示させてもらっているのですよね。
I:はい、そうなんです。あの頃はGRistに憧れて、頻繁にトラックバックしてました。最近は忙しくてやってないけど、たまにはやろうかな(笑)
N:是非!そして、リコーイメージングスクエア新宿のギャラリーで個展開催。
I:はい、これまで撮ってきた女性モデルを中心にポートレイト、ビューティ、スナップとまとめた展示になります。モノクロもカラーも混在です。
N:8月14日から26日まで開催、これも楽しみですね。
■お気に入りの一枚
撮り続けているシリーズ「Two people」の中の1枚から。
"2人"という関係性の中でも、ベタでわかりやすいものではなく、
ふとした瞬間に見せる仕草や表情に惹かれてシャッターを切っている。
後ろ姿を撮る事も多い。
(2012/10/06 salyu×salyuライブ後の帰り道にGR DIGITAL IIIにて)
インタビューを終えて・・・
自分を理論武装しない人、曖昧なことをそのまま置いておけるタイプだと思いました。繊細なアーティストの風貌の中に、案外、剛胆な精神も持っているのかもしれません。
セルフプロモートもしっかり作戦を立てながら、ピュアなアートへのこだわりと社会とのつながりを、いつもバランス良く取り組んで行く、現代の若者という印象も強かったです。次に会った時は、またガラっと違った井出さんを見せてくれるのではないか、そんな期待を感じさせる人物。これからの活躍に目が離せません。
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■井出眞諭(Masatsugu IDE)
WEBサイト:http://masatsuguide.wix.com/m_ide
立教大学経済学部卒業。ラジオドラマ脚本執筆。
その後、VANTANデザイン研究所にて写真を学ぶ。
撮影アシスタントを経て、独立。 第33回KPC写ガール展にて秀作入選。
アーティストや俳優などのポートレートをはじめ、
CDジャケット、カタログ、カレンダー、LIVE撮影、書籍執筆など活動の幅を広げている。
COMMERCIAL PHOTO New Generation Photographers 2012 選出
主な写真展 EMON PHOTO GALLERY / 銀座RING CUBE / 渋谷ルデコ/ など
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