GRist
GRist 竹仲絵里さん
こんにちは、社員Nです。
今回のGRistは、シンガーソングライターの竹仲絵里さんです。
カメラを持っている姿を2nd アルバムのジャケットの表紙にする位にカメラが好きな竹仲さん。プライベートで初めて買ったデジタルカメラはGR Digital(以下、GRD),次に GRDII,そして現在はGRDIVホワイトエディションを愛用する生粋のGRistです。
来る4/18(水)、ニューアルバム「Sang」がリリースされるのですが、ジャケット写真は全て、レコーディングで訪れたノルウェーを竹仲さん自身がGRDIVで撮影したものなんです。それをきっかけに、ニューアルバムリリースに先立ち、竹仲さんがノルウェーで撮影した数々の写真のうち7点をリコーフォトギャラリーRING CUBE 9F フォトスペースに展示することに...つまり、竹仲さん初のミニ個展を開催することになりました。
今回のインタビューでは、ノルウェーでのレコーディングとGRDIVでの撮影やニューアルバムと写真展に寄せる思いなどを伺いました。
RECORDING STUDIO SOUND ARTS様のご協力をいただき、竹仲さんの仕事場であるレコーディングスタジオにてインタビューを行いました!
N:GRDを初代、II、IVと使い続けていただいているんですね!ありがとうございます。
竹:色々触ってみて、一番いいカメラを選んだんです。電器店の店員さんに「いいレンズのカメラがほしいです」って聞いて、教えてもらったのがGR。ズームとか画像補正機能にはこだわりは無いので、いちばん写りがいいものを選びました。...ちょっと予算オーバーでしたけど。これを選んで本当によかったと思っています。
N:カメラを始めたきっかけは何だったんでしょうか?
竹:父が大のカメラ好きだったんです。仕事柄父は、新しいビデオカメラなど家に持ち帰ってきてくれて、触らせてくれていたんです。私が中学生のころだったかな、とにかく写真が好きで。機種は思い出せないんですが、父に頼み込んで自分用のコンパクトカメラをプレゼントしてもらいました。当時、同級生たちはインスタントカメラを使うのが当たり前でしたが、私はフィルムカメラを持ち歩いて撮っていました。
N:GRDIVを使った感想はいかがでしたか?
竹:デザインはあまり変わらないけど、すごく進化していて驚きました!特に、電子水準器はいいですね。これまで、自分はまっすぐ撮ったつもりでいても仕上げてみたら斜めになっていて...自分のイメージと違うってことがよくあって。これなら水平垂直がきっちり取れるので、とても重宝しています。それに、「ホワイト」っていうのもかわいいですね。とても気に入っています。...え?グリップを交換できるんですか?すごい!木目調に変えます、わたし木目フェチなんです(スマートフォンのカバーも木目調)。
N:今回、よく使った撮影モードを教えてください。
竹:画像設定を変えて撮るのが楽しかったです。気に入ったのが2つあります。
1.ブリーチ バイパス、暖色系。
これまでコントラストを強くして撮ることが多かったんですが、このモードなら調整しなくていい。色も適度に抜けていて、甘さが抜ける...というか。景色によっては寒々しく、寂しく写るんですが、自分の心情に写る世界、記憶に残っている色に近いっていう感じがします。今回のレコーディングでは自分と向き合う時間が多くて。Happyなとき、落ち込んだとき...そういうときの心情を写してくれる、そんな撮影モードだと思っています。
2.クロスプロセスのイエロー、コントラスト弱め。
ノスタルジックな雰囲気に写るのがいいですね。私、ポラロイド写真の質感がすごく好きなんです。暖かみがあって。
その他にも、これは初代からになりますけど、モノクロも好きです。モノクロで撮ると、空気が乾いたように写る感じがするので。日本なのに、日本じゃないっていうか。
私の兄もGRDを使ってるんですが、ほとんどモノクロで撮っているみたいです。兄はファッション関係の仕事をしていて、ブログに仕事中に撮った写真を載せているんですけど...すごくいいんですよね!絵心あるなぁ...って。ちょっと悔しくなるくらいです。
N:へぇ...ファッションでは色も大切な要素だと思っていたので、ちょっと意外ですね。
竹:色がない分、フォルムが強調されますし、見る人の想像力を掻き立てるんじゃないでしょうか。色って、人が想像するものだと思っています。
N:なるほど。竹仲さんが良く撮る被写体はなんですか?
竹:何気ない日常を撮るのが好きですね。写真を撮るために散歩に出て、道端の草木や花、公園の遊具とか...。本当は人を撮りたいんですけど、なかなか声を掛けられなくって。友達を撮ったりもするんですが、自然体を撮りたいのに、カメラを向けると身構えられたりポーズをとったりされてしまって、なかなか思ったように撮れないことが多いです。だから、自分をしかたなく撮るようになりました。自分を撮るのが、いちばん手っ取り早いですから(笑)
N:今回ノルウェーで撮影された写真の中にも、竹仲さんの写真がありましたね。これももしかして...?
竹:はい、全部自分で撮りました。
N:見えないですね~。てっきりマネージャさんや、他の人に撮ってもらったのかと思っていました。
竹:今回のジャケット写真を撮るに当たって、初めから全部自分で撮ったものを載せたかったんです。ポートレート写真も含めて、全部。
N:自分撮りのコツ、ぜひ教えていただきたいのですが!
竹:テーマを持つことが一つですね。ポートレートについては「人に撮ってもらったかのように撮る」というテーマを持っていました。「これ、誰が撮ったんだろう...?」「誰の前でこんな表情をするのかな?」っていうように、見る人にいろいろ想像してもらいたい。自分で撮ってるんだけど、誰かに撮られてるつもりで撮りました。
あとは撮って撮って撮りまくることですね。スタジオでも撮ってたので、ちょっとヘンな目で見られたりもしましたけどね...(苦笑) 最初は難しかったですが、時間を掛けて撮っていくうち、だんだん自分がきれいに見える角度や、自分のコンプレックスがわかってきたんです。また、真ん中に被写体がくるように撮るよりも、少しずらして空間を上手く写しこむように撮るといい感じになるんです。
(N:後日、自分撮りの作例を頂きました!)
N:なるほど...ではノルウェーの話が出たところでノルウェーでの撮影や新作アルバムについてお伺いします。今回、レコーディングをノルウェーですることになったきっかけは何だったんでしょうか?
竹:今回のプロデューサー・アランが、ノルウェーのアーティストのプロデュースをしたときに使ったスタジオで録ることを提案してくれたのがきっかけです。アランとはインディーズのときにもCDを作ったんですが、いまだにそのCDが好きだと言ってくださるファンの方が多いんです。そのときはプロとしての経験は浅かったけど、好きなことを夢中でやってたというか...ある意味すごくクリエイティブな時期でした。今回のアルバムでは、その頃に持っていたような、素直な気持ちで作ってみたいと考えていたので、アランにプロデュースをお願いしました。ノルウェーはもともと行ってみたい国でしたから、すぐにOKしました。
N:でも、12月ですよね。めちゃくちゃ寒かったんじゃないですか...?
竹:12月でしたからもちろん気温が低かったですが、東京に比べて風がないので思ったより寒くはなかったです。この時期は白夜の頃でしたから、昼がすごく短いんですよね。10時ぐらいに日が出て、15時には日が落ちてしまう。日が出てる間に撮りたくて、レコーディングを中断して1~2時間の間にダッシュして撮影に行ったりもしましたよ。
N:行ってみて、ノルウェーってどんな国でしたか?
竹:北欧は家具がカラフルだから、ポップなイメージを持っていましたが、ノルウェーは違いました。スウェーデンが「陽」で、ノルウェーが「陰」っていうか。北欧の一番海側だからか、天気も曇りがちだし雨が多くて...すこし湿っている感じ。日本の雰囲気に似たところもあって、私の性格に合っていたように思います。みんな親切で丁寧なんだけど何かを含んでいるような...どこか陰がある感じでした。よく撮りに行った場所はスタジオを出てすぐのところの海。建物もカラフルではないけど、どこを撮っても絵になる、という印象でしたね。
N:4/4から写真展が始まります。初のミニ個展となりますがいまのお気持ちは?
竹:もう、すごく嬉しくてしょうがないです。それも、銀座の真ん中にあるRING CUBEで展示できるなんていう機会までいただいて、本当に光栄です。実は私の祖父は書や油絵などを残している芸術家だったので、 自分にもきっとそんな才能を受け継いでいるんだと、勝手に信じていました。それに、小さなカメラ屋さんを営んでいたのでよく写真を撮っていたそうですから...不思議な縁を感じます。祖父に伝えたいです。今回のお話が決まって、初めは「大丈夫かな...」ってすごく不安でしたが、リコーの方々の後押しもあって、逆に「いいもの撮ってやる!」という気持ちで臨みました。「普通の人だけどこんなにいい写真を撮れる」っていうところを見てほしいです。
N:写真と音楽、同時に作品をつくってきたことになるわけですが...自己表現の手段として、似通っている部分ってあるのでしょうか?
竹:似ていると思います。例えば、「曲を書きたい!」「写真を撮りたい!」と思う瞬間。そのときの気持ち、瞬間の景色は「今しかない」ので残しておきたくなります。そういう瞬間に出会うと、曲を書きたくなりますし、写真を撮りたくなります。 とはいっても、音楽で残せないものを写真で補完したい、というわけではないですが。
私の場合、どちらの表現でも色をすごく意識しています。曲を書いている時も、仮タイトルに色の名前を付けていますし、レコーディング中も「ここは赤のイメージ」みたいに伝えることもあります。
N:では同時進行は、それほど大変ではなかったですか?
竹:むしろ、いい気分転換になってよかったです。曲を書いている時やレコーディング中って、音楽漬けになってしまうんです。コミュニケーション力がすごく必要な現場でもありますし。そんなときに、外に出て写真を撮ったりして帰ってくると、ふっと軽くなるんです。撮ってから見せるまでならば自分だけで完結するから、安心感もありますし、ストレスフリー。セラピーの1つになっていますよ。
N:次に、リリースされるニューアルバムについてお聞かせください。
竹:今回のアルバムの楽曲は、すべて昨年作ったものです。東日本大震災があったことをきっかけに、「自分に出来ることってなんだろう?」「音楽に出来ることってなんだろう?」自分や音楽に対して真剣に向き合いました。震災以降、私自身の原点に帰って、アコースティックライブを積極的に開いてきました。弾き語り・アンプラグドって、すごくリアルな状態ですよね。改めてやってみて、こんなありのままの自分を受け入れてくれるファンの人たちを大事にしたい、作りこみすぎないサウンドで飾らないリアルな自分を発信していきたい、という想いを持ちました。だから、私にとっての「原点回帰」ですね。アランにプロデュースをお願いしたのも、インディーズ時代の持っていたクリエイティビティを思い出したかったんです。私がいっしょにいて幸せと思える人たちと、幸せと思えるサウンドを、心を込めて作りました。外国で、外国人と作ったアルバムなので、外国の匂いがするかもしれませんけど。
N:シンガーソングライターとしての将来像については?
竹:今のスタンスが、すごく楽しいですね。流行だけを追わず、地に足をつけて、太い根っこを張って生きていきたいです。いまできた音楽、クリエイティブな表現を惜しまずに出していきたいと思っています。
N:今後のフォトグラファーとしての活動、応援しています。本日はありがとうございました。
■お気に入りの一枚
ノルウェー海沿いにポツリと建つレコーディングスタジオで過ごしました。
目の前の桟橋の先はただただ広がる海と空。
■取材を終えて
「写真好きなミュージシャン」ではなく、「ミュージシャンでありフォトグラファーである」人だな、とノルウエーの大量の写真を見せていただいた時に感じました。写真が音楽を補完するものではなく、それぞれが独立した表現として成立させられる人。「流行だけを追わず、地に足をつけて」という姿勢がGRに通じるものを感じて嬉しかったです。竹仲さんらしい"色"を求めて、これからも素敵な写真をたくさん撮っていって欲しいと改めて思いました。興奮ではなく感動を伝えるアコースティックな曲をBGMに、いつか大きな個展を開くまで応援していきたいです。これからが楽しみ!
■プロフィール
竹仲絵里(たけなかえり)
70'sの音楽の影響を強く受け、「Gibson Acoustic Musician Award」のイメージアーティストに選ばれるなど、INDIES時代に話題を独占。2004年にコロムビアより「秋晴れモノラル」でメジャーデビューしてからは、コブクロ小渕健太郎サウンドプロデュース「サヨナラ サヨナラ」がチャートイン、V6に「僕と僕らの明日」を楽曲提供するなど活動の場を広げ、フジTV系「MUSIC FAIR」で過去3回の出演などで全国的に認知を高める。
2012年4月4日(水)~4月16日(月)
リコーフォトギャラリーRING CUBE 9階フォトスペースにおいて、CD作品を用いた写真展「Sang~歌がきこえる~」を開催(※東京のほか、大阪、金沢で開催予定)
2012年4月18日(水)
ノルウェーレコーディングの音源、2年ぶりとなるオリジナル・ミニアルバム「Sang」をリリース
公式サイト http://eri-takenaka.com/
ブログ http://ameblo.jp/takenaka-eri/
Facebook http://www.facebook.com/eritakenaka/
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