GR徹底紹介

特別寄稿:インターバル合成モード【応用編】

2012-02-22

こんにちは、ヒロです。 
 
先週ご紹介しました特別寄稿:インターバル合成モード【入門編】はいかがでしたか?基本的な使い方をご理解頂けたのではと思いますが、今回は、さらに踏み込んだ内容の【応用編】のご紹介になります。
前回に引き続き設計区の山本さんに記事を書いてもらっていますので、どうぞよろしくお願いします!

============================================

設計の山本です。

前回の入門編に続きまして、今回の応用編では、「他の被写体への応用はどんなものがあるのか?」「表現の幅は広げられないのか?」「既に星空は撮っているが、もっと便利な使い方は無いのか?」といったことへのヒントとなるような作例を挙げて行きたいと思います。これらをヒントに、インターバル合成機能をより使いこなして頂けると幸いです。

それでは、第2回 応用編のスタートです。
(以下インターバル合成モードの作例は全てGR DIGITALⅣで撮影しています)

■星以外の撮影に応用する

まずは日中作例です。
日中は殆どのものが明るくなりますので被写体選びが難しいです。「明るいものが残る」というより「暗いものが消える」というイメージで被写体選びをすると良さそうです。今回は、観覧車を選んでみました。観覧車のカゴやフレームが消えています。観覧車がこのような状態になるまで1~2分程度です。さらに撮影を続けると、流れる雲が青空部分を隠して雲の動きが見えてきます。画像設定はポジフィルム調です。
インターバル合成の画像には、画像設定も併用できることはあまり知られていないと思います。是非ともご活用ください。
t_2_01yama.jpg
ISO80 F8.0 1/400sec 94枚をカメラ内合成(約6分間の撮影)

続いて、夜の街で車のライトの光跡を残してみました。画像設定はブリーチバイパスです。
車の光跡を積極的に区切り、重ねることができますので、普通の長秒露出と異なる雰囲気を出せます。
光跡の重なり方によっては、通常長秒露出より車の動きを演出できると思います。合成枚数は5~8枚程度で十分です。あまり合成枚数が多くなると道路が全て真っ白になってしまいます。
t_2_02yama.jpg
ISO104  F7.1  2sec  6枚をカメラ内合成(約12秒間の撮影)

■途中経過保存したデータを生かして表現の幅を広げる

第1回 入門編では、途中経過保存したデータを、意図しない光が入ってしまった時の保険として利用する(過去に遡って成功データを得る)方法をご紹介しました。
今回は、もっと積極的に撮影データを利用する方法を紹介します。それは、撮影した静止画を市販のPCソフトウェア等を使って動画にしてしまうことです。現在このような動画は「微速度動画」と呼ばれています。
星空を撮影したデータで微速度動画を作成すると、より不思議な動画となります。以下例では「途中経過保存」のデータを微速度動画としましたが、撮影状況によっては 「1枚ずつ保存」のデータを微速度動画としても良いとおもいます。



■街中より暗い所で使ってみる

GR DIGITAL IV のインターバル合成機能は、多くの皆さんが住んでいる街中であっても、 星の光跡と夜景が共存した写真を手軽に撮れることを特徴としています。 しかし、本格的に星空を撮られるような方々は、人工光が少ない大変暗い環境を撮影地に選びます。そのような環境で、GR DIGITAL IV がどれくらい活躍するのか、便利に使うことができるのかを紹介させて頂きたいと思います。

[山に行ってみよう!]

街の明るさは、月の満ち欠け(月明かりの強さの違い)の影響を受けにくいほど夜空が明るいです。一方、山奥のキャンプ場など、大きな街から離れた本格的に暗い場所では、月の満ち欠けの影響を大きく受けることとなります。
以下に、各環境における露出設定の目安を記しておきます。あくまで目安です。お好みにより設定は変えるべきことですので、あくまでご参考として利用下さい。
t_meyasu.jpg

上記の表を見ても判るとおり、本格的に暗い場所で、新月という環境がカメラにとって最も過酷な撮影環境となります。

第1回入門編の東の空の作例の写真は、新月の山奥のキャンプ場で撮影したものですが、撮影データに後処理を行ったものです。後処理を行う前は以下のような写真でした。縦位置にした右上が少し、紫色になってしまっています。
t_2_04yama.jpg
これは、撮像素子(フィルムの代わりに光を受ける部分)の温度が連続した撮影により上昇していくことから発生するノイズで「温度ノイズ」などと呼ばれています。
今回私が後処理で行った方法とは異なるのですが、今後、機能拡張ファームウェアの提供にてこのノイズを低減する処理を搭載する予定です。

[あえて撮影間隔を開ける]

あえて撮影間隔を空けるという作例として、昨年末にあった皆既月食を撮ってみました。月が地球の影に完全に隠れるまでは、月の光が強すぎて欠けて行く様が判らなくなります。そこで、強力なNDフィルターを取り付けてインターバル合成をしていきます。そうすると、月以外の星はとても暗いので記録されず、月だけが記録されていきます。月が地球の影に完全に隠れたらNDフィルターを外し、他の星々も一緒に記録します。皆既中の月はオレンジ色の満月(赤い月)として記録されています。
(もう少し細かいことを言うと、月以外の星々を強調するために、ソフトフィルターを取り付けています。)
撮影間隔は10分としていますので、上記のフィルターワークを撮影と撮影の合間に行うことが十分に可能となります。

露出設定が暗すぎてしまい、少々寂しい写真となってしまったので、星座の説明を書き加えた写真を掲載させて頂きます。^^;
2_05yama.JPG
ISO800 F2.8 8sec 10分間隔で撮影した21枚をカメラ内合成 (約3時間20分間の撮影)
換算21mm(GW2使用)

このNDフィルタを活用する撮影方法は、今年(2012年) 5月21日朝方に起こる金環食(日食)にも応用可能と思います。知識と腕に自信のある方は是非ともチャレンジ下さい。
※NDフィルタなしの状態で長時間露光を用いて太陽を直接撮影するとカメラにダメージを与える可能性も御座いますのでお勧めしません。

[単発撮影もできるGRD4 の実力]

インターバル合成とは話が逸れてしまうのですが、GR DIGITAL IVはとても暗い場所で単発の星空を撮影することもできます。以下の作例は、ワイコンとソフトフィルターを取り付けた状態で、皆既月食で最大食となった月と、冬の星座達(冬のダイヤモンド)が共存している写真です。ソフトフィルターのせいで月の光からゴーストが出てしまっていますがご容赦ください。星の説明は上写真と同じですので「説明なし」と致しますが、上の写真とは、撮影した向きが少々異なります。どれがどの星か当ててみてください ^^;
t_2_06yama.jpg
ISO1250 F1.9 30sec 換算21mm(GW2使用)

[星の光跡モニタとして活用する]

フィルム一眼レフカメラや、デジタル一眼レフカメラにて、星の光跡残し撮影を行うと、どのような光跡となっているか、飛行機の影響が無視できるものか気になるものなのか、など、露光中に判断することができません。そんな時、とても小さなカメラであるGR DIGITAL IVを、以下のようなホットシューに取り付ける小さな雲台で一眼レフカメラに固定し、撮影を並行して行うことをオススメします。
これは、GR DIGITAL IVを星の光跡リアルタイムモニターとして使用する提案です。
t_2_07yama.jpg

■最後に

GR DIGITAL IV は、「ポケットに収まるほど小さく、何時でも持ち歩けるカメラ」「取り出して直ぐ撮れるスナップ向きのカメラ」などと言われています。
これは、一見して星の撮影と対極となるようなイメージを持たれてしまうのですが、実は、星の撮影にも役立つ利点でもあります。星の光跡残し撮影は、天気が良い夜空とめぐり会う必要があります。めぐり会ってもカメラが無ければ撮影できません。GR DIGITAL IVならば、常にカメラを持ち歩いても苦にならない大きさです。三脚も板状に折りたたんでポケットに入るようなものでも良いです。良い夜空とめぐり会ったら直ぐに撮影できる。そんなチャンスに強いカメラです。皆様には、様々な街、様々な星空を撮影して頂き、私達にその写真をみせて頂きたいです。
GR DIGITAL IVで日常的な星空ライフをお楽しみください。

TwitterFacebookはてなブックマークに追加del.icio.us に登録この記事をクリップ! 投稿者 ヒロ | TrackBack(16)

この記事へのトラックバック一覧

GRでインターバル合成をやってみた。 [from スローライフ]

GRでインターバル合成を試しにやってみた。とりあえず、ネットで調べたように、マニュアルモードにして、ISO100、絞りは2.8で固定。露出がマイナス0.3... 続きを読む

TrackBack 2015/02/25

GX200星空撮影/トラブルと回避 [from Hammer's-Photo/日々雑観]

RICOH GX200+CA-1+gorillapod 合成後画面の四隅に縞模様が発生。該当画像をトーン調整してみるとかなり規則正しい状態の... 続きを読む

TrackBack 2012/12/13

汎用星空撮影兵器『GX200』試験投入 [from Hammer's-Photo/日々雑観]

RICOH GX200+CA-1+gorillapod 24mm/ISO100/f2.5/8秒/150枚合成・換算20分/画像調整後トリミング 12/... 続きを読む

TrackBack 2012/12/12

蛍・ホタル・Firefly [from 才谷梅太郎の日常]

 今年も蛍の季節がやって来ました。西播磨某所までお出かけして撮って来ましたよ。今回の相棒はもちろんGRD4。インターバル合成機能で撮影。... 続きを読む

TrackBack 2012/06/03

RICOH GR DIGITAL IV のレビュー・記事リンク集:製品レビュー、ファーム更新追加 [from デジタルカメラのレビュー・記事リンク集]

RICOH GR DIGITAL IV の製品レビューや記事などをとりまとめています 続きを読む

TrackBack 2012/02/24

RICOH DIGITAL #1130 [from さすらいたっきー横浜STYLE]

RICOH GR DIGITAL IV 金沢@某所 続きを読む

TrackBack 2012/02/23

RICOH DIGITAL #1129 [from さすらいたっきー横浜STYLE]

RICOH GR DIGITAL IV 金沢@実家の近所 続きを読む

TrackBack 2012/02/23

さよならジャニーさん [from raison d'etre]

GR Digital II杏仁豆腐を食べていたその時だ北コーちゃんが亡くなった一時は介護ヘルパーをやっていたこともあったと聞いたが無理にコーちゃんが介護を... 続きを読む

TrackBack 2012/02/23

5匹のビクター犬、屋根の上 [from 猫と6ペンス]

RICOH GR DIGITAL III (Jpeg/Silver Efex Pro) 地元ではかなり有名です モノクロームな猫た... 続きを読む

TrackBack 2012/02/23

iPad3まだぁ? [from Photo Coffee]

RICOH GR DIGITAL 2 そろそろiPad3が出てほしいです。... 続きを読む

TrackBack 2012/02/23

四代目 [from 必撮!勤め人]

★GXR+VF-2+50mm、マクロ、1枚目はPCでモノクロ化 自分なりに考えた結果、四代目に決めた。 GRDの場合、感度を上げたくないので手... 続きを読む

TrackBack 2012/02/23

東京スカイツリー 2012/02/22 [from An edge of the universe]

GXR A12 28mm P10  関連記事浅草寺とスカイツリー GXR A12 28mm P10東京スカイツリー 2011/01/26 559mスカイツ... 続きを読む

TrackBack 2012/02/22

積雪その4 [from visionary moment ...]

GXR MOUNT A12 & Voigtländer SUPER WIDE-HELIAR 15mm/F4.5 次の雪雲が近付いてきていました。... 続きを読む

TrackBack 2012/02/22

CANDiD No4 [from 金魚と温泉とワイン]

ありのままの、たわいもない日常 かけがえのない瞬間になってほしいねぇ~^^; 続きを読む

TrackBack 2012/02/22

マスクを買いに 。 [from パレードは,いつですか。~Is the big parade,when?~]

ドラッグストアへ。 ricoh gr digital iii / 外で飼い主をじっと待つ利口な犬。 うちの犬にはこんなこと出来ない。 続きを読む

TrackBack 2012/02/22

春 。 [from パレードは,いつですか。~Is the big parade,when?~]

ricoh gr digital iii / 寒い日が続きますが, 春の便りがちらほら。 続きを読む

TrackBack 2012/02/22

PAGE TOP