GXR情報
お知らせ&特別寄稿「A12 50mmを持って撮影に出かけよう」(第3回)
こんにちは。ふーです。まずお知らせをいくつか。
その1。
今週から「new angle, new dayプロジェクト」がスタートしました。
以前から提唱してきた「Candid Photo」の考え方を、より具体的にわかりやすく紹介し、デジタルカメラを通じて毎日をよりクリエイティブに楽しもう、といった提案をしていきたいと考えています。
すでに新聞広告や都内の交通広告などで目にされた方は多いと思いますが、スペシャルサイトでもお伝えしていきますのでご期待ください。GR BLOG右上のバナーからも移動できますよ!
その2。
銀座のリコーフォトギャラリー「RING CUBE」で、「message -飯沢耕太郎の注目する女性写真家-」展を開催中です。新進の女性写真家、うつ ゆみこさん、野村恵子さん、藤岡亜弥さん、宮下マキさんの作品を紹介しています。
詳しくはRING CUBEのホームページで。
また、今年1月のフォトグラファーズサミット6で実施された、GR DIGITALの広告写真対決の公募優勝作品とプロ制作作品を紹介する、「フォトグラファーズ・サミット6 GR DIGITAL 広告写真企画 作品展」を9Fフォトスペースで開催中です。なかなかインパクトのある作品になっていますので、こちらもぜひご覧ください。
その3。
今年もリコーフォトコンテストを実施します。今回は「第10回」になりますね。今回のテーマは「new angle, new day ~私の視点~」。前述のプロジェクトのキーワードと連動しています。審査員は写真家の大和田良さん、岡嶋和幸さんです。
応募要綱など詳しくはこちらのページをご覧ください。
また、GR BLOGのメインイメージも募集しています。GR BLOGの一番上に表示される、横長の画像です。GR DIGITALで撮影した写真はもちろんですが、GR DIGITAL「を」撮影した写真でも結構ですし、イラストでもOKです。GR DIGITALを撮影した写真の方は、撮影カメラを問いませんので、ぜひ奮ってご応募くださいね。
詳しくはこちらの記事でご確認ください。
その4。
「ご近所写真家」のhanaさんと、毎回異なる写真家によるシリーズ撮影会の第6回目が6月19日に開催されます。今回のゲストは写真家の安達ロベルトさん。フィルムの時代からリコーのGRをご愛用いただいていて、今年3月のCP+でも、GR DIGITAL IIIのコーナーのトークショーで熱く語ってくださいました。
この撮影会ではGXRの無料貸し出しも行ないますので、GXRをじっくり触ってみたい方にもうってつけです。詳しくはこちらのページへ。
さて、大変お待たせしました。毎週お届けしてきた特別寄稿「A12 50mmを持って撮影に出かけよう」の第3回です。今回は、
・特長(6)大写しできないときも繊細描写
・特長(7)高速AFモード“QK-AF”で撮る動体追尾撮影
をお届けします。
ではどうぞ!
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
【第三回】
こんにちはTRKです。実写で語るGXR+A12 50mm GRの魅力についての第三回です。
その前に第二回で触れたGXRシステムを見る2つの軸のうち、残る「コンパクトカメラなのにレンズ交換できる」観点でGXRを眺めてみたいと思います。
(最初に書いた時点では、「センサーサイズがコンパクトカメラと同じ」を意図したのですが、ご指摘いただいたように、ボディサイズを軸にした見方もできますね。)
今、マーケットではミラーレスのレンズ交換式カメラに勢いがありますが、現在でもいくつかのメーカーから、1/1.7型クラスのイメージセンサーを搭載した、ハイエンドのコンパクトカメラが出ています。単純に画素数の多さを競わず、解像度とS/N比のバランスを追求している点に好感が持てます。リコーでいうとGX200のように、このクラスのカメラはポケットに入れることをあきらめた代わりに、高性能ズームレンズとRAW画像の記録、そして一眼レフに近い操作性を持っているというのがおよその共通項です。(あ、手前ミソですが、唯一ポケットに入るハイエンドコンパクトカメラとして、単焦点ながらGR Digitalがありますね。)
このように、GX200の後継としての、S10ユニットを中心としたGXRシステムの広がりに期待されている方々も知っています。S10 24mmm-72mmは、GX300の化身だと考えるとちょっと背が高いとはいえ (それでもハイエンドコンパクトとして最大最重量級でない)、いざというとき単焦点レンズに交換できる、クラス唯一のカメラという見方ができます。しかも、単焦点レンズに交換すればAPS-Cサイズのセンサーが付いてくるので、GX200とGR Digitalの2台 (画角の差は置いといて) を持ち歩くこととは、意味合いが異なって来るんです。
そこに現れた、CX3ならぬP10 28-300mmは、どう位置付ければよいのでしょうか。A12ユニットから見れば、S10もP10も小さなセンサーなので、単にズームレンジの広いP10 28-300mmが得なような気もします。でも、ハイエンドコンパクトカメラの世界に入り込むと、1/1.7型と1/2.3型の差は決して無視できません。そこで、ここもS10ユニットを中心とした広がりと捉えると、望遠域までカバーしたい時に、もう一台CX-3を持ち歩くよりもP10ユニットなら操作性が共通だし、1/2.3型クラスでありながらRAWで撮影できると考えれば、「ポケットに入る」をあきらめてもメリットは小さくないと思います。市場のカテゴリー分けに反した言い方ですが、センサーが小さくなってS/N比に余裕がなくなるほど、RAWで撮影できることのメリットは大きくなるとも言えます。それに、実売価格も戦略的ですしね。
GXRはシリーズ展開が始まったばかりです。S10ユニットなら、コンパクトカメラにしては大きめなボディを逆手に取って、もっと明るいズームレンズがあっても良いでしょうし、P10ユニットなら20倍以上のズームも搭載できそうです。そして個人的には、A12 50mmとの画質の差が少なく、かと言って一眼レフの交換レンズほど大きくならない、新提案のズームレンズが見てみたいです。こんな両極端なレンズユニット群を集めてもシステムとして成立するのはGXRだけですから、今後の展開に期待したいですね。
特長(6) 大写しできないときも繊細描写
さて、今回は撮影テーマが変わり、一見無謀とも思える野鳥撮影に臨みます。公園などに現れる野鳥も僕がよく撮る被写体ですが、A12 50mmは標準レンズなので関係ない?いえいえ、50mmしかなければ踏み込んで撮るのがフォトグラファー魂です。
カルガモなら、ある程度人間の存在に慣れているので、50mmレンズでも結構寄ることができます。この時も足招きされました。
ISO200, F2.5, 1/930秒 露出補正-0.3
[クリックすると800×531に拡大します。]
次にもう少し難易度の高い、コサギを追掛けてみましょう。この公園では、3月下旬から5月上旬頃に掛けてコサギに出会えるチャンスが高くなります。
運良く出会っても50mmでは大きく写せない時は、周りに何を入れるかが絵作りの課題になります。ここでは、コサギに加え亀の甲羅干しと古民家で三角形を作ってみました。
また、望遠レンズの場合、コサギの警戒半径から十分に離れた位置から動きを観察できますが、A12 50mmだとコサギの意識の上では警戒円の内側に入ってしまいます。こんなときは気配をじっと殺し、呼吸を鳥と合わせてから撮影に入るのがコツです。それでも写っている大きさとしてはかなり小さくなってしまいますが、羽毛の質感はなかなか緻密に出てますし、白いネコ同様に色滲みが出ないのがこのレンズの長所です。
なお、真っ白なコサギの場合、GXRでも一眼レフでも、天候に関わらず露出補正をマイナス1/3段に設定します。場合によっては更に露出を切り詰めないと白とびしやすい被写体なんです。
ISO200 F3.2 1/1,230秒 露出補正-0.3
[クリックすると800×531に拡大します。]
写りは小さくても、等倍で見るとかなり細部まで写っています。また、ラインライトっぽいエッジ部分であっても緑や紫の色収差が出ないのはGRレンズの光学性能から来るものです。
カルガモとの交流です。一羽がちょっとびっくりしたようです。
ISO200 F2.5 1/510秒 露出補正-0.3
[クリックすると800×531に拡大します。]
桜が咲きはじめて、人が集まって来た頃です。
ISO200 F4 1/1,620秒 露出補正-0.7
特長(7) 高速AFモード“QK-AF”で撮る動体追尾撮影
さて、ここで応用編です。コサギの警戒円内に近づいてじっと動きを観察し、特長(4)の応用バージョンで捕食写真を撮りました。動きの規則性を見つけ、リズムに乗ることができれば面白いように撮影が進みます。
言葉で説明するより実際に試してみる方が簡単とは思いますが、コサギが魚を見つけた瞬間、実際にクチバシを水に突っ込む一呼吸前に顔の位置でAFを完了してフォーカスロックし、コサギが水中の魚をキャッチして再びフォーカスロックを掛けた位置に顔が戻ってくるタイミングでレリーズすると、うまく行きました。フルプレススナップではなく、一コマづつAFをやり直しています。そこで、少しでもAFを速く動作させるため、ここではAFモードを高速なQK-AFにしています。(QK-AF時はAFターゲットを移動できないので“日の丸構図”になっています。)
ISO200 F4 1/1,410秒 露出補正-0.3
[クリックすると800×531に拡大します。]
顔の部分を切出してみると、動体でもかなり細かく描写してくれるのがわかります。
ISO200 F4 1/1,410秒 露出補正-0.3
[クリックすると800×531に拡大します。]
これは、手前の枝が被ってしまいました。
ISO200 F4 1/1,410 露出補正-0.3
[クリックすると800×531に拡大します。]
これも顔の部分を切出します。
今度の画像は、天気が良くなりましたが、日と場所をあらためてます。
ISO200 F3.2 11,230秒 露出補正-0.3
[クリックすると800×531に拡大します。]
白い羽根は、やはり光線が強くなるとハイライトが飛びやすくなります。
これは第三の機会です。大きなザリガニ君を捕まえました。
ISO200 F16 1/60秒 露出補正-0.3
[クリックすると800×531に拡大します。]
かなり大きいですが、何をするのでしょうか?
・・・飲み込んでしまいました!
ISO200 F16 1/60秒 露出補正-0.3
(シャッター速度が1/60秒となって絞りがF16まで絞られてしまったのは、狙ったのではなく設定ミスです。)
[クリックすると800×531に拡大します。]
野鳥撮影は望遠レンズ・動体予測AF・高速連写の三種の神器がないとハードルが高いのは確かですが、与えられた条件の中で何ができるのか、被写体を観察することの大事さを少しでも伝えることができれば幸いです。
そこで、トラックバック企画で「A12 50mmで切り取る一瞬の動き!」なんてあっても面白いかもしれませんね。
さて、今回の撮影テーマにおける特長紹介は以上で全てです。世間ではGXRが得意なジャンルと不得意なジャンルの評価が固まりつつあるように思うのですが、僕は逆に固定観念に囚われたくなかったので、撮影テーマを決めてから機能を紹介するスタイルを取ってみました。色々な工夫が報われるかどうかは最終的に得られた写真によると考えますが、動体撮影など自分でも意外な発見があって面白かったです。これからも機会があれば、別ジャンルにおけるGXR撮法を紹介して行きたいと思います。
【カスタム設定紹介のコーナー】
僕の普段の操作方法に沿った、メニュー設定を紹介するコーナーの3回目です。
(1)一瞬のシャッターチャンスを逃さないために、A12 50mm最速のAFモードを使う
2010年3月18日に発表された、ファームウェアV1.07で追加されたモードです。動体を追うと、かなり高速にフォーカスが合うことが実感できます。
但し、2点重要な注意事項があります。
*1 AF中に画像がフリーズしてしまうこと (これは他のGRブログライターからも、「ビューファインダーを使うときは回りの安全に気をつけて」と呼びかけがありました。)
*2 AFターゲット位置が中央固定です。僕が常用する「AFターゲット移動モード」に入ると、QK-AFは自動的に解除されてしまいます。
(2)一瞬のシャッターチャンスを逃さないために、カメラと自分との呼吸を合わせる
レンズシャッター式のカメラでは、一眼レフのようなシャッター音を擬似的に発するのが一般的です。しかし、このような電子音を入れると、本当にシャッターが切れたのがいつなのか、タイミングが掴めません。そこで、操作音をOFFにしてレンズシャッターが発する微かな動作音に神経を集中し、カメラと自分の呼吸が合うようにしています。狙いのタイミングで撮れたか、ポストビューで確認しなくても、撮った瞬間の指先の感触と音で判断できるわけです。
【次回予告】
今回の実写作例についての特長の紹介は、ここまでです。次回は、まず裏技紹介の2回目として「トリミング」機能を紹介します。少しだけ予告編をお送りしますね。
・カメラ内でトリミングした画像 (A12 50mmですが、トリミング後は4:3になります。)
そして、開発チームとのインタビューの内容を発表します。第一回目の冒頭で紹介した通り、社員の立場を利用して、カメラを作って売る事業部に潜入して情報を発掘して来ました。A12 50mmレンズの光学性能やAF性能のこと、そして新発売のP10 28-300mmユニットと次に発売予定のA12 28mmユニットの未確認情報について紹介しますので、お楽しみに。
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