GRist
=GRist=ハービー・山口さんです!
GRistの第6回目、ハービー・山口さんにお話をうかがいました。 ハービー・山口さんは、アーティストから普通の若者まで、それぞれの自然な姿や表情を,いつも暖かい視点で撮っていらっしゃいます。 一方で、代官山や同潤会アパートなど都内の街並みを、そこに住む人の目を通した視点で、誰の目にもなぜか懐かしさを感じる作品を白黒で表現されています。 また、GR DIGITAL カレンダーコンテストの審査員にもなっていただきました。 |
今回はいつも優しい視線で撮影をされている先生が人々とどのように向き合い撮影されているかを中心にお話をうかがってきました。 場所はハービー・山口さんがホームグラウンドとして、アーティストの撮影を行うこともあるという中目黒。 素敵なカフェでお話をうかがいました。 ■普段撮影に出かけるときはどんな機材を持って出かけるんですか? ハービー・山口さん(以下ハ): 普段は小さめのショルダーバックに最小限の撮影機材を入れて持ち歩くことが多いかな。 違うサイズのバックをいくつか持っていて、撮影内容によって選ぶこともあるけど、 バイクでの移動も多いので、コレは結構気に入ってる。 そんなに高くないものだけどね。 (当日は両サイドにフラップ付きのポケットがある、小ぶりのショルダーをお持ちになっていました…) きょーちゃん(以下き)拝見してよろしいですか? 主室には両吊ストラップ付きのアンスラサイト仕上げのライカMP(ズミクロン35mmf2.0付)と単体露出計が。 サイドポケットには財布や携帯電話を入れて身軽に出かけていらっしゃるそうです。 もう片方のサイドポケットからGR DIGITALが。 ハ: GRはサイドのポケットに入れられて、すぐにだせるからいいね。ストラップもつけていない。 レリーズタイミングが他のデジタルカメラよりも早いからテンポよくシャッターチャンスを捉えられるのがいいね。 ライカを首から提げているときは、なんていうのかな、もう一歩すすんで撮るぞっていう気構えをもって臨むのだけど、GRはメモを取る気軽さですぐ取り出せるところが魅力だね。 |
■写真の被写体を探しているとき、撮影されるときはどのような気持ちで臨んでいるのでしょうか? き:いつもどのようなことを考えて撮影されているのでしょうか?直球ですみません(笑) ハ:いい質問だね。僕は自分の撮りたい写真、表現したいものを常に心の中においてる。カメラを持って歩いていてそんな被写体にめぐりあうと、心のタコメーターの針がレッドゾーンへぐっと振り込んでくる瞬間って感じ。それが写真を撮る瞬間なんだよね。 僕の場合は、中学のころ写真をはじめた時からずっと、人間のポジティブな一瞬を撮り続けたいと思ってきたんだ。 人間が素敵だな、輝いているなと感じる瞬間、 人間が好きになってしまうような写真を撮り続けたい。 人の心を優しくさせる作品を沢山の人に見て、感じてもらえたらって思い続けているんだ。今でもね。 だから僕の写真をみて“やさしい気持ちになった” 東京の写真を見て“東京が嫌いだったけど好きになりました”なんて言われるととても嬉しい。 |
■人を撮影されるときの心構えは? き:僕ももっと人の写真を撮りたいなって思っています。でも素敵な被写体にめぐり合ったとき、どう撮らせて貰えばいいかわからなくて、まよってしまう。 GRで撮影されている皆さんの中にも同じように悩んでいらっしゃる方もいると思います。 先生が人を撮影されるときの心構えや接し方を教えていただけますか? ハ:一番大事なのは撮影する相手に対してリスペクトして接すること。 貴方が撮影したいと思ったとき、きっと貴方の心が振るえてレッドゾーンに入ったんだと思うんだ。その気持ちを素直に言葉にすると良いと思う。 貴方が“この瞬間を撮りたい“と感じたことは真実だから。 それを相手に対して、相手を尊重して(リスペクトして)伝えることじゃないかな。 き:最初の一言がなかなか難しいですね。 ハ:僕は必ず撮影する相手に声をかけてOKを貰ってから撮影してるんだ。 素敵な女性であったり、幸せそうな家族であったり、一生懸命汗を流して働いている人だったりする。 そんな彼らの輝いた一瞬をリスペクトして声をかけてる。 まずなんでもよいから会話して相手の心に入っていくといいよ。 昔、女子高生に声をかけたときね、学校自体が生徒の校外活動に厳しくて最初は断られたんだけど、卒業するまで公表しないからって約束をしてね,名刺をあげて撮らせてもらった。 き:やはり相手の立場での気配りが重要ですね~。 |
■撮影中は? き:それで“いいよ”って言われたらどれくらい(枚数、時間)撮影されるのですか? ハ:大体2分か3分くらいかな。仕事中の方の場合は邪魔にならないように1,2枚で決めるようにしてる。 素敵なカップルだったりしたときはちょっと時間をかけてそれでも2,3分。 相手がちょっと引くくらいのぎりぎりまで撮り続けて20枚くらい一気に撮影するときもある。 そうそう、撮影のテンポが大事。特にデジカメは注意が必要だね。その場で確認できてしまうから、1枚撮るごとに液晶を見て確認したくなるけど、 |
■シャッターチャンスについて き:先生の写真を撮る瞬間(シャッターを押す瞬間)に対するコダワリというか、いつも思っていることはありますか? ハ:写真を撮るということは、 “その瞬間、被写体に対して自分がいかに対峙したか?" が大切だと思ってる。 “撮ったそのときにすべてが決まる。” この緊張感が重要なんだ。 それはライブ演奏と一緒だよ。そのときの、会場、その時いたオーディエンス、その瞬間にあったもの全ての一体感で成り立っていて、はじめて,かけがえの無い瞬間になるんだよね。 僕の写真集を見てもらうとわかるけど、すべて黒枠があるのはフィルムの枠で、すべてノートリミングで光と影と表情、構図を全てその場で決めているから。 デジタルで撮るときも同じ考えを貫いている。 “撮ったそのときにすべてが決まる。” んだね。 もちろん、そのためにはそれまで沢山撮影した経験であったり、人々と培ってきた人間関係だったり、それなりに積み重ねてきた部分もあるよ。 |
■GRとGRユーザーにむけて き:最後にGRの印象とGRユーザーの皆さんに一言いただけますか? ハ:GRはコンパクトでタイムラグが少なくストレスの無いカメラ。かわいいしね。写真が身近に感じられるカメラだと思う。 これなんか、美容室の中でも切ってもらっている最中にちょっとスナップしたんだけど、こんなところでも自然な表情で撮影できる。 撮影される側も肩の力を抜いてカメラに向かってもらえるところがいいね。 <<ハービー・山口さんの一枚>> GRを使っている人には、自分が感じるままに、素直に、自分の心に近い写真を撮ってもらいたいなって思います。 流行を意識すると、心から離れていってしまう。ウケ狙いは本当の自分ではなくなってしまうから。 心の琴線に触れたとき、露出や、色味なんてとらわれず、カメラを信じてその瞬間にシャッターを切ることを心がけて。 写真を撮ることに真剣に。かつリラックスしてね。 き:なんだか、素直な気持ちで沢山写真を撮りたい気分になってきました。本日は本当にありがとうございました。 |
■インタビューを終えて インタビューを終えた後、ハービーという名前の由来を教えていただきました。 あらためて自分がカメラを持つとき、カメラを向けるとき。 自分の心に素直に。 最後に写真集を紹介させていただきます。 僕のこの日の大切な一枚は,ハービー・山口さんのポートレートでした。 先生の略歴を下記します。 |
ハービー・山口 HERBIE YAMAGUCHI: 1950年東京生まれ。大学で経済専攻。 卒業後、1973年にロンドンに渡り、およそ10年間を過ごす。ロンドンでは、一時期ツトム・ヤマシタミュージカル劇団レッド・ブッダで役者をしていたこともある。 一方、折からのパンクムーブメントを実体験し、70年代の生きたロンドンの姿を写真に記録するようになった。 特に、ロンドンのロックミュージシャンの撮影では高い評価を受けた。 帰国後もヨーロッパと日本を往復し、アーティストから巷の人々までを、気取りのない優しい表現のモノクローム作品に残している。 その飾らぬ清楚な作品を好むファンは多く、写真集や写真展の他にエッセイ執筆、BS-iでの司会(毎週水曜日23:00~24:00 MUSICTIDE )など、写真家のジャンルを越えた幅広い活動で人気を得ている。 ▼ハービー・山口オフィシャルサイト (別ウィンドウで表示されます)
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